思い入れのある記事

自分より大きなものの為に戦う強さ

“I gave everything that I had. I put my heart and my blood and my sweat and my tears into this game…..Cleveland, this is for you!”

持っているもの全てを捧げた。心、血、汗、涙の全てをこのゲームに注ぎ込んだ。
クリーブランド、この優勝をお前に!

2016年、クリーブランド・キャバリアーズがクリーブランドの街に52年ぶりのプロスポーツ優勝をもたらしたコート上で、チームを牽引したレブロンジェームズが涙と共に上げた勝鬨の言葉です。同選手の出身地オハイオ州アクロンは、クリーブランドから45分ほど下ったところにある街。キャリア13年目にして故郷に優勝をもたらした”A kid from Akron”が心の底から絞り出した言葉には、計り知れない重みと純粋さがありました。今でも鳥肌が立ちます。

シーズン73勝というNBA年間最多勝利記録を更新したその年のゴールデンステイト・ウォーリアーズを相手に、NBAの歴史初となる1勝3敗と王手をかけられてからの逆転優勝。計算上のチャンスは6%とも言われた逆転優勝を実現させた原動力は、文字通りチームを背負うレブロンジェームスが、個人のゴールやレガシー以上よりも大きなもののためにプレーしていたことにあると感じました。それは、長期(当時52年間)に渡ってプロスポーツの優勝が無いことから”クリーブランドの呪い”がかかっているとまで言われていた自分の故郷。史上最強の呼び声もあったチームを相手に崖っぷちに立たされているのに、焦りや悲壮感を感じさせないのは何故だろうと不思議に思ったこともありましたが、自分の故郷・ルーツの為に戦うという境地がそうさせていたのだろうと、今は思います。

先月、世界を舞台に戦う日本人アスリートの快挙が続きました。日本人ゴルファーとして初のマスターズ制覇を成し遂げた松山英樹選手と、日本人3人目となるNBA本契約を勝ち取ったトロント・ラプターズの渡邊雄太選手

日本選手が挑戦して惜しいところまでいっても勝てなかった。自分がアメリカツアーで長く戦うようになって期待をされていたことはすごくわかっていたが、あと2、3人同じような気持ちが分かる人がいたらいいのになと、ずっと思っていた。

よりNBAを身近に感じてもらって、「自分たちも努力し続ければできるんだ」と感じてもらえるだけですごく大きな一歩だと思う。少しでも子供たちの影響力になれればとずっと思っているので、モチベーションになってくれればうれしい。

二人のインタビューやコメントから共通して感じたものは「日本人でもできる」というメッセージであり、冒頭のレブロンジェームスのエピソードを思い出しました。

そんなメッセージに敏感になっていたのは、同時期に読んでいた本の影響もあると思います。2008年の北京オリンピックで金メダルを獲得したアメリカ代表バスケットボールチームのHCを務めたコーチKの著書「ゴールドスタンダード」には、世界最高峰のタレント集団が個人よりも大きなもののためにプレーする意識を培っていく過程が描かれていました。

こんな事を思い出し・考えながら、僕自身も一つの節目を迎えようとしています。