未分類

W杯で日本代表と対戦した3選手のルーキー時代

ルーキー時代を知る3選手がW杯で日本代表と試合をしました。その3人について書こうと思います。過去の話ですが、興味があれば読んでください。

3人の共通点

トルコ代表のCedi Osman、アメリカ代表のJoe Harris とKhris Middleton。3人とも2巡目指名でドラフトされている(順に31th、33th、39th)という事の他に、月並みですが、真面目にブレずにトレーニングと練習に取り組んでいた事が共通点として思い出されます。

CediとJoeはCavaliersの同じストレングスコーチの元で、シーズンを通してトレーニングに取り組み続けました。2人共、不定期でチャンスを与えられて試合に出てはいましたが、いつ来るか分からない出番の為に体力を温存しておくのではなく、多少の疲労が残るのを承知でしっかりとしたウエイトを挙げる事を方針として、遠征先でもホテルのフィットネスジムや近隣のフィットネスクラブを利用してNBAの過密なスケジュールの中でもトレーニングを続けました。試合では訪れたチャンスをモノにできない時もありましたが、それを疲労やウエイトトレーニングのせいにしたところを、一度も見聞きしたことはありません。

鎧を纏う

同ストレングスコーチが使っていた表現で僕が好きだったものの一つに、”You need to build the armor”というものがあります。NBAでのフィジカルコンタクトから身体を守る鎧、という意味です。ぶつかられた時だけでなく、自分からコンタクトをしていく際にも必要な出力を備えた鎧です。特にCedi はドラフト前には当たりの弱さが弱点として挙げられる事もありましたが、今ではその弱点は見る影もありません。JoeはUniversity of Virginiaのプログラムで4年間しっかり鍛えられてきた土台に、着実に上乗せしていきました。ここに技術としてのフィジカルコンタクトの習得が加わり、今の彼らがあると思います。

考えながら、黙々と

Khrisのルーキーシーズンは僕のPistonsでのインターン時代にまで遡ります。再建中だったチームにおいて、彼の立ち位置は若手でも4番手でした。PistonsのストレングスコーチはClevelandのストレングスコーチとは異なるトレーニングフィロソフィーを持っていましたが、そのプログラムに考えながら丁寧に取り組んでいた姿が印象に残っています。また、あの無駄のない美しいシュートに磨きをかけている姿は、「黙々と」という表現がぴったりでした。今でこそ強豪チームの中心選手としていぶし銀で職人的な存在感を放っていますが、その準備はルーキー時代から始まっていました。もしかしたら、それ以前からかもしれません。

ベテランの存在

CediとJoeが幸運だった事は、チームに手本となるベテランがいた事です。そして、そのベテラン達から敬意を勝ち取った事は、2人のキャリアに大きな影響を与えたと思っています。英語には“take under wing”という表現があります。大きな鳥がその大きな羽の下で小さな鳥を守っているイメージをすると、その意味が分かると思います。Cediはその愛嬌と物怖じしないキャラクター、そしてコート上でみせる闘志によってベテラン達から認められ、多くのアドバイスを受けるようになりました。NBAは優勝を目指すチーム同士の争いだけではなく、その限られた席をめぐる選手同士の争いのリーグでもあります。若手の台頭はベテランを締め出す事に繋がるので、本当の意味でベテランの加護を受ける事ができる若手は多くありません。Cediはその1人であり、彼の成長を大きく後押しした要素の一つだと思います。

やり抜く姿勢

Joeはトレーニングや練習だけでなく、ルーキーとしての雑用にも真面目に取り組みました。その結果、“The best rookie ever”と言われるようになり、真面目で徹底した姿勢はベテランからも評価されました。そして何よりもJoeにとって幸運だったのは、一つ上にオーストラリア人PGのDellyがいた事です。NBAでは平均以下の身体能力ながら、プロとして出来る事は全てやり抜く姿勢とハードワークによってドラフト外から契約を勝ち取り、チームでの地位を確立したDellyの弟分としてシーズンを通して学んだ事は、Cavaliersからトレードされた先で解雇され、そこからNetsの中心選手・アメリカ代表の1人となるまで成長する過程で大きな助けになったと想像しています。

2巡目でドラフトされたこの3人のように、当初の評価を覆して活躍している選手達のルーキー時代に関わるなかで学んだ事は、僕の大きな財産です。